Kevin’s Column Vol.4 : 製造業・ものづくりにおける、ポートランドの歴史的な強み
実はオレゴン州は、1900年代初めから世界市場向けに最先端の製品を製造してきたという歴史的背景から、金属や機械の製造業が盛んです。
西海岸に位置するオレゴン州から一般消費者向けの製品を大規模市場に流通させるにはコストがかかりすぎるため、地元の金属製造企業は、時間と生産技術が要求される代わりに高額で取引されるような、高度な技術を要するカスタマイズ製品の製造に力を注いできました。
この地にある多くの金属メーカーは、自らを第一にエンジニア企業であり、製造業務はそれに続くものだと考えていて、競合優位性としての技術力と専門性を重視しています。
1800年代後半から、オレゴン州の金属製造業は主に農業や木工、漁業に使われる用具や設備とパーツを製造してきましたが、1930年から40年代にかけて、ルーズベルト大統領の政権下で実施された3つの主要な新構想によって金属産業が活性化されました。
まず、1933年のニューデール政策の一環として1933年に制定された水力発電法により、全米にダムが建設されることになり、ダム建設用の鉄鋼や機械、部品などの製造業に対する地域的な需要が高まりました。以来、コロンビア川とその支流には281のダムが建設されました。オレゴン州のメーカーもダムの建設に関わっており、中には自社の部品が使用されていることを宣伝する会社もありました。
また、エネルギーコストが下がった結果、オレゴンとワシントンの州境を流れるコロンビア川沿いにアルミニウムの精錬所が建設され、ポートランドと周辺都市には新しい金属メーカーが増えていきました。
そして、1930年代後半から、ポートランドのカイザー造船所では戦争の機運が高まりつつある英国向けの船の製造が盛んになりました。1941年に米国が第2次世界大戦に参戦すると、ルーズベルト政権は、137隻のリバティ船とビクトリー船と呼ばれる貨物船の建造を発注。
コロンビア川沿いに精錬所を持つオレゴンとワシントン両州のアルミニウム会社では、第2次世界大戦中、米国の航空機に使用されたアルミニウムの40%を供給していました。戦時中、ポートランド地域の製造業には、新たな企業と共に5万人の溶接工、機械工やエンジニアが集まってきました。戦後も多くの労働者がこの地に残って金属製造業界で働き続け、オレゴン州では長年にわたり、製造業とエンジニアの人材が確保しやすくなりました。
1943年、ルーズベルト政権は、オレゴン州アルバニーに鉱山局研究センターを設立。現在は国立エネルギー技術研究所に属する同センターは 、チタンやジルコニウムが産業用途で使用されるようになった発祥の地でもあります。
- アルバニー研究センター http://www.albanyresearchcenter.org/
今日、この研究所は、ほとんどの金属、合金、セラミックのライフサイクルを専門として、配合や特性解析、溶解から、鋳造や製造、プロトタイプの開発、そしてこれらのプロセスに関連する廃棄物のリサイクルと浄化までを研究しています。現在でもオレゴン州には、チタン、特殊合金、アルミニウムの製造を専門とするメーカーが多数あり、航空機エンジン、航空機体、産業用ガスタービン(IGT)エンジン、軍事兵器、医療用人工装具その他多くの産業用途で使用されています。
ポートランド地域で生産されている代表的な金属加工製品
自動車及び車体、産業用トラックやトラクター、自動車部品及び付属品、鉄道機器、芝生・園芸用の機器、鉱山機械、鋼管及びチューブ、航空機部品及び機器、流体動力ポンプ及びモーター、アルミニウム押出成形製品、トラックトレーラー、特殊産業機械、組み立てパイプ及び接続金具、金属製ドアやサッシ及びトリム、建設機械、カトラリー、造船及び修理、冷蔵及び暖房機器、手工具及び刃物、加工ワイヤー製品、旅行用トレーラー及びキャンピングカー、送風機及びファン、工作機械及び金属切断機、サービス産業機器、切断用工具及び鋸、ボルト・ナット・リベット及び座金。
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Kevin Johnson ケビン・ジョンソン
プロスパー・ポートランド(ポートランド市振興局)
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